はじめに



 一括(ver.3.3)(17.0 MB,20221021)
 番外編(20240126)



 拙著「ビジュアルアプローチ 材料力学」が粗削りながら出版されてからかれこれ8刷になってしまいました.この間,読者の方々からのご指摘も含めて多くの訂正を行ってきた.この場を借りてお礼を申し上げるとともにお詫び申し上げます.

 かねてから気になっていた点は同書に例題演習が少ないことで,これを補完する目的で本書を企画したが,著者らの怠慢や遅々として固まらない内容のなどのせいもあって出版物として日の目を見ることなくボツってしまったため,Webに掲載して広く公開することに決めた.出版社の担当者の方々には多大なご迷惑をおかけしたことをここでお詫びいたします.

 本書では「ビジュアルアプローチ 材料力学」で展開した静力学を基礎とした材料力学の考え方をより徹底させることにした.そのため,次のような点を心がけた.



1.高校卒業程度の静力学の知識を基礎にして材料力学を理解する.

2.フリーボディダイヤグラムの考え方をより徹底した.

3.基本的な例題から難しい例題,応用性のある例題をできるだけ入れた.



1.の点については,第1章「静力学と材料力学」の最初で高校卒業程度の静力学の知識の確認から始めて材料力学との間の橋渡しを試みた.2.の点については,しつこいくらいに全編を通して入れた.3.の点については,全部で約200題程度の例題を,基本例題,発展例題,応用例題の三つのカテゴリーに分け(1)

○基本例題:必ず理解してほしい内容

○応用例題:基本例題の知識で解ける例題か次に触れる発展例題で導かれている式に数値を入れて計算する例題

○発展例題:少し複雑か積分計算を必要とする例題で,積分計算が苦手の方は読み飛ばしてもかまわないができれば理解してほしい内容.上述の応用例題ではその結果のみ利用することがある

とした.各例題は「問題」,「指針」,「解答」,「解説」の構成にした.基本例題と応用例題だけで材料力学の大雑把な理解と実際の計算を理解できるようにしたつもりである.また,各章末には演習問題を付けた.ただ,演習問題には基本例題と応用例題を見ただけでは解けないものも多いので,演習問題にトライすることをきっかけにして発展例題の理解に努力してほしい.

 なお,本書の内容は「ビジュアルアプローチ 材料力学」の章立てと対応しているわけではなく,内容はかなり絞った.具体的には,第1章は前述の通りで,第2章以降は



第2章:軸力系の不静定問題

第3章:ねじり(丸棒以外のねじりと薄肉断面棒のねじりを含む)

第4章:静定はりの応力とSFDBMD

第5章:組み合わせ応力(主応力,ミーゼス応力などを含む)

第6章:はりのたわみと不静定はり

第7章:長柱の座屈,フレームの座屈

第8章:ひずみエネルギとそれを使った材料力学

第9章:はりの塑性変形(2016追加)

第10章:薄肉圧力容器(2016追加)

第11章:薄肉曲りはりとばねの力学(2016追加)

第12章:もう分類するのが面倒くさい(2020追加)



となっている.(入れてほしい例題があれば,提案してください.疲れたのでしばし休止します)



20160205

20160218

20160318

20160323

20161014

20170801

20200107

20210501

20221021

著者ら記す





お詫び

1.絵は手描きのものもあり,絵に使われているシンボルと本文で使われているシンボルが異なっている場合があるが,雰囲気で読んでほしい.

2.図には,一つ一つ出典をつけていないが他書からコピーしたものがある.「ビジュアルアプローチ 材料力学」から抜き出したもの,「SCHAUM'S OUTLINE SERIES -THEORY AND PROBLEMS OF Strength of Materials」から抜き出したもの,「Beer,F.P., Johnston,E.R. and DeWolf,J.T., Mechanics of materials, McGraw Hill」から抜き出したもの,「材料力学 上巻,養賢堂」から抜き出したもの(2016,10,14)ホームページで公開されているものがある.なお,ホームページにアップされているものはどこにアップされていたか忘れてしまっています.著者の責任です.お詫びいたします.気づいた方は連絡ください.

3.第6章に関しては,「応用例題」のカテゴリーはない.この章自体内容的に高度になるため,数値を代入して計算する例題を作りにくかったことによる.第5章までの内容とこの章の「基本例題」で機械構造物の要素設計には十分かもしれない.

4.第4章はファイルサイズの関係で前半と後半を分けてつくったため,後半部の図の番号は図4.11+xといった表現になっている.後半部の本文からの参照は図4.yとなっている.y=11+xである.すみません.

5.第9章以降では演習問題はありません.(2016.10.14)



20160218補足

 第8章の後半部に曲りはりの問題を投入した.これでもかというくらいに基本的な例題を入れたが,他の教科書や演習書の問題を解きなおしているうち,それらの中のいくつかの例題や演習問題の答えが「?」となった.何度か計算しなおしてヨレヨレになってしまったので,確認は完全ではないかもしれないが,オジサンの解を入れている.考え方や解き方を確認していただき,オジサンが間違えていれば一報ください.



20170801補足

 上記「20160218補足」で,「第8章の後半部に曲りはりの問題を投入した.」と書いた.これは間違いで,前のversionで第11章として独立させたことをすっかり忘れてしまっていました.第8章を探した人,ごめんなさい.

 うちの研究室の石 夏冰君が第8章まで目を通してくれていて,ずいぶん間違いを見つけてくれた.ここでお礼申し上げます.ついでに,第8章の後ろのほうに少し例題を追加しています.



20200107補足

 まあ,いろいろと例題を追加してきましたが,性格に似合わな豆さゆえ,いつ破綻するかと思っていたら,案の定破綻に至りました.追加した章は第12章ですが,章のタイトルはついに,「もう分類するのが面倒くさい」になってしまいました.私の性格がよく現れたものです.内容と言えば,不静定はりの問題がほとんどですが,ここではクラペイロンの三モーメントの方法を解説して少し拡張してみました.



20210501補足

 退職を機に,時間があったので,(味のある)手描きの図をdrawツールで描きなおしてみました.お気に入りの()図は手描きのままです.さすがに二次元のdrawツールで三次元的な図を描けないので,3D CADの力を借りています.特に大幅な変更や追加はありません.が,各章の頭を奇数ページになるように調整したので,その分総ページ数は増えています.内容が大幅に増えたわけではありません.ごめんなさい.



20221021補足

 第7章と第12章に問題を追加,ところで,図を描く面倒くささから,つい「教科書の・・・」と書いてしまっている.ごめんなさい.気になる人は,ぜひ購入を.特にはりの部分は丁寧に書いたつもりなので,好評のようです.宣伝でした.

目次



第1章 静力学と材料力学 1

力のつりあいと材料力学 1

少し複雑な問題 9

静力学的つりあい 15

材料力学における「力」に関する補足 25

材料力学における「モーメント」に関する補足 26

演習問題 27

第2章 弾性棒の係る不静定系の力学 31

不静定系 31

熱応力 40

全ひずみに関する補足 52

剛体棒に弾性棒が接続されている問題への補足 52

演習問題 54

第3章 ねじり 59

丸棒のねじり 59

円形断面棒以外のねじり 71

薄肉断面棒のねじり 73

ねじりモーメントに関する補足 77

演習問題 78

第4章 はりの応力とSFDBMD 83

曲げ応力 83

はりのせん断応力 87

せん断力と曲げモーメント 94

せん断力線図と曲げモーメント線図 94

集中荷重の前後に生ずる

せん断力の不連続に関する補足 119

外力のモーメントの前後に生ずる

曲げモーメントの不連続に関する補足 119

軸力と曲げが同時に作用する場合の補足 119

左端を固定支持にすることの便利な点 120

演習問題 121

第5章 組合せ応力 129

応力成分の呼び方 129

傾斜した面での応力,主応力・最大せん断応力 130

モールの応力円 134

組合せ負荷と設計 136

三次元応力,ひずみに関する補足 146

演習問題 147

第6章 はりのたわみと不静定はり 155

はりのたわみ 155

不静定はり 174

はりのたわみと不静定はりに関する補足 195

続・左端を固定支持にすることの便利な点 196

はりの熱応力 197

等価曲げ剛性について 205

演習問題 209

第7章 長柱の座屈,フレームの座屈 221

オイラー座屈 221

少し複雑な系の座屈荷重 225

フレームの座屈 251

座屈問題のややこしいとこ 259

発展例題7.23の続編 261

連立方程式と座屈の固有値方程式 262

演習問題 263

第8章 ひずみエネルギとそれを使った材料力学 267

種々の負荷形態下でのひずみエネルギ 267

カスティリアノの定理の応用1 270

カスティリアノの定理の応用2-仮想荷重と単位荷重法- 283

レーリー・リッツの近似解法 290

仮想仕事の原理と有限要素法 299

演習問題 315

第9章 はりの塑性変形 321

第10章 薄肉圧力容器 335

第11章 薄肉曲りはりとばねの力学 349

薄肉曲りはり 349

ばねの力学への応用 360

第12章 もう分類するのが面倒くさい 369



いまのところ,全391ページ

1. 基本例題のグループ,発展例題のグループ,といった親切なグループ分けをしているわけではないので注意してほしい.実際,散らばっています.